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10月31日追悼

夜中。

仕事に疲れてネットを見ていたら、

30日の午後に藤本義一さんが亡くなった記事を

見つけて愕然とした。

藤本さんは、テレビや映画、芝居の脚本や

直木賞作家、井原西鶴の研究、司会者、

阪神淡路大震災被災遺児の施設『浜風の家』を

運営されるなど、多くの顔を持って

長年活動されてきた。

そして、

私にとっては、

敬愛する川島雄三監督のお弟子さんであり、

川島監督に一番近いところに居た方だ。

昭和32年の暮れ。

まだ藤本さんが学生時代に、

山崎豊子さんの『暖簾』を

川島監督が映画化する際に

セリフを大阪弁に書き直す仕事がきっかけで

川島監督と出会われたのだという。

川島監督の作品には

大いなる駄作と大いなる大傑作が混在していて、

そのどれもが私はいとおしくてたまらないのだが、

川島作品で私がもっとも好きな『貸し間あり』は、

川島監督と藤本さんの共同脚本だ。

この『貸し間あり』が好きで好きでたまらず、

川島作品の上映があると必ず映画館へ出掛け、

岡崎宏三さんのカメラワークに浸り、

おそらく映画を愛して止まない

川島ファンの人たちと共に観るのが

私の一番の幸せで、

昔やった連続もののテレビの脚本の仕事で

オマージュ作品モドキを書いてしまったくらいだ。

原作者の井伏鱒二さんは映画の仕上がりに

激怒したらしいが、

下品に見えても、俗っぽく見えても

原作よりも映画の方が

作品の中に人間がちゃんと息づいている。

藤本さんがお書きになった

『川島雄三、サヨナラだけが人生だ』(河出書房新社)

によると、川島監督は、

いったんバラバラに分解した登場人物を

また再構築して、

ボナンザグラムにあてはめていくやり方を

したとか。

厖大な時間を費やして作るやり方は、

時には、

結果的に大はずれもあったかもしれないけれど、

耕し続けることで豊かな土壌を育み、

その豊かな土壌で実ったブドウから

比類なき芳醇な香りのワインが醸成され、

その旨味は人々の記憶にいつまでも残る。

藤本義一さんのご冥福を心からお祈りいたします。

追伸。

川島監督の映画ではないけれど、

村野鐵太郎監督の

『鬼の詩』もまた好きな作品。

原作は……そう、藤本義一さんだ。

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