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5月31日これからも観続けます。

昨日の午後、新藤兼人先生の訃報が届いた。

「映画は人を愛することを描くもの」

それを教えて下さったのが新藤先生だった。

私は、働きながら京都の大学に通っていた頃、

現実に押し潰されそうになっていた……。

家が裕福ではなかったので、

国立の教育大学に行くつもりで

せっせとガリ勉してきたのに、

幼い頃からうまくいっていなかった親に

横やりを入れられ、

(まあ、コミュ不足ですな~)

高校三年の冬、

18歳になると同時に、

高校の卒業式を待たずに家を飛び出し、

京都市内に住処を決めて

働きながら大学に通うことにした。

三月の卒業式には

いったん実家に戻ったが、

京都市内で

同じ年頃の人達が

まだ学生服を着て楽しそうに

歩いているのを見るのは

忍びなかった。

いまさら泣き言をいうワケではないが、

辛い仕事をして、生活費と学費を稼いで、

夜は眠い目をこすって勉強をして、

自分なりにがんばっているのに、

同じ下宿にいる人には

あまり理解されず、

学校が終わって銭湯へ行き、

戻ってくると、玄関の鍵がかけられたことも。

それに文句を言うと

「二部のくせに」と言われ、

たまたま仕事で

学会で本を売ることになった時には、

私が学生とは知らない大学の先生から

「二部の授業はしんどいし、いややねん」

と、あっけらかんと言われ、

深く傷ついていた……。

実際、不器用な私は、

人から理解されず、

傷つくことばかりで、

もうなにもかもが嫌になっていた……。

そんな時に、古本屋で見つけたのが

『新藤兼人オリジナル脚本集』(ダヴィッド社)で、

『偽れる盛装』や『しとやかな獣』、『鬼婆』や『本能』

を貪るように読んだ。

最底辺に居る気になって

哀しみしか感じなくなっていた心に

火がついた!

それからは、時間があれば映画を観て、

映画館でノートにシナリオを起こす……という

作業を続けてきたのだが。

後に、月刊シナリオで、新藤先生を囲んで

新人のシナリオライターの仲間と

対談をした時(2003年くらい?)には、

ずっと持っていた本にサインをしてもらった。

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反戦、反核を強く訴えて来られた新藤先生には

『原爆の子』や『第五福竜丸』など

すぐれた反戦映画があり、

遺作となった『一枚のハガキ』にも

「戦争はバカバカしいものなんだ!」

「戦争は人間を、家族を破壊する」

「絶対に戦争をなくすべきだ」

というメッセージが込められている。

ここしばらく、新藤先生のお弟子さんの

松田昭三先生から

週に1~2度の割合でハガキや手紙で

ご連絡を頂いており、

その中には

新藤先生や、松田先生がお若い頃の話が

書かれている。

私信なので、公にはできないが、

昔の撮影所の様子や、当時の監督のようすが、

松田先生の美文で、鮮やかに描かれている。

まだ松田先生とお話していないが、

新藤先生のマネージメントをされていた松田先生の奥様が

今、入院されているので、きっと松田先生も

心細い思いをされているのでは……と思うと、

気が気ではない……。

私は、新藤先生の監督作品の中では、

『どぶ』が一番好きだ。

徹底して人間を「悪」として描く一方で、

音羽信子さん演じるツルの「聖性」が

際立っている。

身震いするくらいの残酷さと底抜けな優しさ、

人間の両面をこんな風に、

泥臭く、かつ洒脱に描ける人は

もういないのでは?

新藤兼人先生のご冥福を心よりお祈り申し上げます。

そして

これからも新藤先生の映画を観続けます。

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