8月10日秋野不矩美術館へ
朝早く家を出て、秋野不矩美術館(静岡県天竜市二股町)に行く。
ここ数年、秋野さんの描くインドの広大な風景や、
柔らかな光に包まれた神々、静謐だけれど蠱惑的な人物に魅了されていて
ぜひ秋野さんのルーツである天竜市で絵と対峙したいと思っていたのだ。
美術館の藤森輝信さんの建築にも興味があった。
自然素材を生かした美術館で裸足で、
床に直に座ってじっくり秋野さんの絵に対面できるのは
とても幸せなこと……。
空間のゆとりが私たちを、日常の猥雑なことから解放し、
朗々とした気持ちにさせる。
そして、絵自体も、そういうスタイルで見るよう
展示に工夫がなされているように感じた。
2001年に93歳で亡くなるまで、
秋野不矩さんが晩年(1980年)にアトリエを置かれたのは
私の故郷にほど近い京都府北桑田郡美山町。(私は隣の北桑田郡京北町)
秋野さんが描かれた『残雪』という作品は
見事な線で、私の田舎の淋しく厳しい山々と枯れ木を象徴していて、
今、真夏ではあるにもかかわらず、
あの身を切るように痛い故郷の木枯らしを思い出し、
くすんだ山の匂いを思い出した。
閉ざされた山村での暮らしを思い出した。
長い間、故郷に帰っていないので、
余計に山の稜線が、優れた画家の手による線で
すぐに自分の故郷のものだとわかったのか?
いや、秋野さんの絵が多くの人の心に潜む
郷愁を呼び覚ますのかもしれない。
帰りに浜名湖を巡ったが、時間が遅くなり、鰻を食べ損ねた……!!!
残念。
しかし、心は十分満たされた。
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